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2012年06月01日(金)更新

よい会社・よい経営者であるための建設的議論をすすめましょう

 みなさま、こんにちは。
 熱血漢社労士 西村介延 です。

 大手すしチェーンの未払い残業代について書きましたところ、多くの方に見ていただき、コメントも頂戴しました。

 そのうち、まつだ さんからのコメントを見て思ったのですが・・・。
 こうした事件が起きるたびに、経営者や法務担当(人事や総務の方)が何をしてたんだ?といわれます。
 たしかに今回の事件は指導の後も放置されてた いわば悪質な事案ではあります。

 しかし。
 氷山の一角であるとしても、多くの事業主は従業員をそんなに粗末には扱っていないと思いますよ。

 考えて頂きたいのは以下のことです。

 多くの経営者の方は一生懸命、経営に取り組んでるし、ともに働いている従業員さんの生活にも目を配っていると思います。
 経営環境の厳しさから、十分な条件にはなりえていないとしても・・・。
 また、理念づくりにしても、いまはこうでも、従業員の生活に責任の持てる経営をめざして、経営理念をつくっていることを、ぼくも身近で見て知ってます。
 そこを理解した上で、では少しでも労働条件を向上させて、働きやすく、経験や知識が職場に定着しやすい職場づくりをするにはどうすればいいか?
 そこを考えるのが、われわれ専門家の使命だと思います。

 もちろん、現状が法的に誤っている・是正すべきだ・・・ということはいうべきだとは思いますが。
 そのうえで現実的にどうすればいい方向に行くかを考えないといけません。
 だって、改善・是正ということ自体が、現状はなんらかの意味で法に合わないってことなんで。
 
 だから、一歩でも前に進めるための建設的議論こそ、必要なんですよ。

 行政もわかってるんですよ。
 したくてもできない現実があることを。
 だから、裁判官も、わかっててあえて、事業主の心情だと断ったうえで、苦言を呈するのではないですか?
(労働関係訴訟 青林書院 171ページ)
 また、最近の 職場意識改善奨励金なども、有給休暇付与や残業削減の努力をする事業主に奨励金をだしてますが。
 これなども、苦しい現実のなかでも努力する事業主に、わずかでも ごほうび?をだして、労働時間削減への意欲を高めようとしているのではないでしょうかね? 

 まつだ さん のように、切り捨てるのは簡単ではありますが、それでは事態はひとつも前進しません。
 事業主の直面している現実・きびしい資金繰りや返済計画なども理解して、それでも従業員に長く働いてもらいたい・知識や経験を蓄積していい会社にしよう 
 そうした中小事業主の現実をまず理解することが大切ではないでしょうか?
 
 そのうえで、まつだ さん のいう 個人の尊厳 が活かせる職場づくり のために自分がなにをできるのか?考えるべきだと思います。

 それが専門家なりの目配りであり、やさしさであり、こんな事件を少なくして個人の尊厳を実現する道ではないかとおもいます。