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2012年07月15日(日)更新

富士山レーダー建設にかける情熱・・・新田次郎 「富士山頂」 座右の書でした

 みなさま、こんにちは。
 熱血漢社労士 西村介延 です。

 暑い日々がつづきます。
 そんな暑さの中でも、いまは年金の研修に励んでおります。
 社労士であれば、いろんな場面できかれることの多い年金について、知らんというわけにもいきません。
 現にしょっちゅう訊かれますし。
 
 いい機会なのかも?
 だれでもご指名ってわけでもないようだし・・・。

 で、懸命になってるさ中、みのもんたさんが、 新田次郎さんの 「聖職の碑」 のことをいわれました。
 で、懐かしく思い出したひとつが 「人間の壁」 でした。
 そしてもうひとつが、おなじく新田次郎さんの 「富士山頂」 です。

 この作品は、新田次郎さんが気象庁で富士山レーダーの建設の責任者であったときの記録です。
 その富士山レーダーも、いまはもうありません。
 しかし、その建設をめぐるおはなしは、ひとの胸を打ちます。
 20代はずっと、この本と 阿刀田高さんの「夜の旅人」 が座右の書だったといってもいいくらいです。
 「夜の旅人」 はゲーテの図書館をつくるのに一生をかけたひとの物語で、「ナポレオン狂」 の元になったといわれてます。

 なにかひとつことに打ち込もうとする姿勢が、自分の胸にしみるのだと思います。

 ところで、この本を知ったのは、行政法のテキストのコラムで紹介されてたからです。
 富士山レーダー建設に必要な予算を当時の大蔵省と折衝します。
 その場面が、活きた行政法の見本として紹介されてました。
 
 こんな感じ。
 あなたは富士山レーダー建設の責任者だそうですが、レーダーの必要性を5分で説明してもらいましょうか。
   (この押しつけがましい言い方にカチンときて)
 2分で説明しろと言われれば、2分ででもできますよ!
   (後ろから上司が椅子をけって牽制するが)
 では2分で説明してもらいましょうか。
   (説明してるうちに2分たって)
 2分経ちました、もう結構です。

 この作品のだいご味は、新田さん自身が苦悩するところのリアルさです。
 建設にかかる2年間、小説が書けない・・・2足のわらじでやって来たのに、忘れられるかもしれない恐怖感・・・。

 富士山頂にレーダーを建設するには雪のない年間3~4か月しか時間がない。
 その中で効率的に作業するためには、業者を優秀な1社に絞って分散を防止するしかない。
 で、独断で1社に絞ろうとするが、いろんな横やりが入る。
 建設が始まれば始まったで、またトラブル・・・。

 結局、建設ができたところで、横やりなども原因して、気象庁をやめることになって・・・。
 ずっと後ろ盾になってかばってくれた上司もやめて、研究室に戻るという。
 その上司が最後にいうことばが妙に印象に残ってます。

 やめるまでには、富士山の見えるところでビールでも飲もう・・・。

 なにかにとりつかれるように・導かれるように・・・。
 ひとつことに集中する姿、すばらしいとおもいます。

 先日紹介した障害年金専門の労務士さんの本だってそうですが。
 阿刀田高さんの 「夜の旅人」 や 新田次郎さん の 「富士山頂」 も、小説ではありますが、実座の人物の実際の苦闘を描いたすばらしい作品です。