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2011年04月24日(日)更新

内なる力を腹に蓄え・・・亀田高志先生の「できる社員の健康管理術」はおもしろい!!

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 先日、亀田高志先生(産業医大ソリューションズ 代表取締役)から新刊の著書を送っていただきました。
 2月に東京で、職場復帰支援プログラムのセミナーを聴いたときに、師匠に紹介して頂いたご縁でお送りくださったのだと思います。
(このセミナーについては、「東京行った、新幹線乗った」というお題でこのブログにも紹介しました。このセミナーに行く新幹線の車内ニュースで、「過労自殺で国家賠償請求」が流れました。メンタルヘルスのセミナーへ行く途上でこのニュースに接するのもなにかのご縁かと思い、ほうぼうにメールしたことを覚えています。)

 さて、この本では、「仕事や職場で実績をあげるスピード」という意味での「生産性」をアップさせるために、元気や活力を回復させることは可能だし、工夫もできると説いています。
 そのために、まずは現状分析として・・・生産性を下げる生活習慣や日常の考え方を紹介しています。

 遅い就寝・睡眠不足・飲酒・朝食抜き・脂肪摂取しすぎ・運動不足などが、悪い生活習慣としてあげられています。
 ぼくがヤラレタ!!と思ったのは、カフェインのとりすぎです。脳の覚醒で睡眠が浅くなり、場合によっては不眠傾向になるといいます。(そのわりにはよく寝てるけど・・・)。

 また、参考になったのは、飲酒で「うつ」に近い状態になるという指摘です。
 ぼくはお酒がまったくダメなのでわからないですが、メンタル不調気味のひとには酒が一番の特効薬だと豪語するひともいます。
しかし、その人の話をよく聞いていると、対象はごく初期の・軽い症状の人であったり、酒を飲ますというより悩みを打ち明けやすくする
ために酒を飲ませていて、人の話を黙って聞くことに重点があったりします。
 酒を飲んだり、餃子を腹いっぱい食べて治るようなら、メンタル不調がうるさく言われたりするはずもないのですが・・・。

 あと、気になったのが、「歩く」ということです。
 けっこう歩く人は多いです。しかしその歩き方が問題だと指摘されています。
専門家が言う「歩く」とは、手を大きく振って、汗をかくくらいに速く歩くことだ、ぶらぶら歩いても気分転換にはなっても、「運動」にはなっていない、と指摘されています。そしてここでいう「運動」とは、人間が太古の昔から持つ原始的・本能的な部分を刺激して、活力や集中力を高めるものを言うと書いています。

 
 ここで「人間が太古の昔から持つ原始的・本能的な部分」と書きましたが、この本の最後で亀田先生は人間が感情を持つ生身の生き物だということを忘れたために、メンタル不調や職場不祥事が増加しているのだと指摘されています。
 そして、自分も周囲の人も、生身の生き物なのだという目で見つめなおせば、あたたかくやさしい気持ちをよびさますだろう、業績が上がることもだいじだけど、ほんとうは生身のあなたが元気で活力があると感じ続けられることことがなによりなのだ、と締めくくっています。

 ぼくはこの「生身の生き物」としての人間という指摘に接して、「老子」のある1節を速攻思い出しました。

    そもそも人間に欲望があるのも、生命があるからこそのことであって、ほんとうはわが身のいのちこそが根源的なものなのだ、
    それを逆転させて、欲望のためにわが身といのちを犠牲にするのは世俗の迷妄以外のなにものでもない(13章)。
    内なる力を腹にたくわえ、文明の虚飾に惑わされてはいけない(12章)。
 
 たしかにブログなら、システムがダウンしても2日もあれば復旧もできるけれど、人間のいのちはダウンしてしまえばそれっきりです。
そうしたあったりまえのことがカンペキに忘れられているのが、いまの世の中なのだとあらためて思いました。
 そうした状況だからこそ、「老子」や亀田高志先生の指摘はとても貴重なのだと思います。

 内容が濃いわりには、3時間もあればすっと読める本ですので、ぜひご一読を。
 なお、亀田高志先生が大阪で講演なさいます。詳細は次の通り。
http://www.wetrust.me/0708.pdf

2011年04月21日(木)更新

道の道とすべきは常の道にあらず・・・「メンタル税理士」さんにお会いました。

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 きのう、同友会の早朝勉強会に参加しましたところ、そこで「メンタル税理士」の肩書きをお持ちの税理士さんにお会いしました。
 税理士さんって、ふつうは税金のこととか、それに付随して経営の指導とかをなさると思っていましたので、「えっ」という感じでした。

 お話をお聞きすると、国税にお勤めのときにメンタル不調でダウンする同僚が多く、土日とかを利用して勉強した・・・とのことです。

 そう言われて改めて思いましたけど、税理士さんがメンタルヘルスをやってはいけないとは、どこにも書いてないし、われわれ社労士  だけがやれると決まっているものでもありません。
 税理士さんはたまたま税を専門にするのでメンタルに深くかかわらないだけで、社労士は労務管理を専門にするから関わることが多いというだけのことでしょう。
 税理士さんだって、顧問先企業でメンタル不調を起こす例があるでしょうし、経営指導の一環で協力したいとお思いの方もおられます。
自分の経験から、強い意識をもってメンタル問題に取り組む姿勢はすばらしいと思いました。

 「老子」も言っています。

   これが道だという道は常の道ではなく、これが名とする名は常の名ではない(1章)。

   常を知らザれば、盲作して凶なり。 
   常を知ればい(容)る。  いるればすなわち公なり。
   公なればすなわち王なり。王なればすなわち天なり。天なればすなわち道なり。道なればすなわち久し。
   身を没するまであやうからず。(16章)

 メンタルヘルスは社労士や医師だけがやるもんだ・・・というのは勝手な思い込みであって、それぞれがそれぞれのやり方で関われるはずなのだ。
 重要なのは、メンタルヘルス対策などいらない社会をつくることで、それまではそれぞれ協力し合っていけばいい・・・。
 そんなこともわからないようでは、経験交流も意見交換もできないし、勝手な思い込みに走ってドツボにはまるだけだよ(盲作して凶)。
 反対に、柔軟に人から学ぼうとするならば、大丈夫・商売繁盛でっせ!!(身を没するまであやうからず)。

 「老子」が言っているのは、こんな感じだと思います。


 とはいえ、事務所理念にもメンタルヘルスを掲げている社労士さんなので、負けないようにしっかりやりたいと思った次第です。
 メンタル税理士さん、またいろいろ教えて下さいね!!

  そうそう、師匠からメンタルヘルスのセミナー案内してっていわれとりました。
 7月8日、大阪大学中之島センターで。
 詳細は http://www.wetrust.me/0708.pdf から。お申込みはhttp://www.wetrust.me/mvea.htmll 
   この日、講師をされる亀田高志先生(産業医大ソリューションズ)から、新刊書を頂いておりました。読まなくっちゃ。
 

 

2011年04月18日(月)更新

風林火山

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 このところしばらく、「孫子」にこだわって書いていますが、もういっちょ、書かせてください。

 「風林火山」・・・ご存知ですね?
 武田信玄の旗印にもなったことばです。

   はやきこと、風のごとく
   静かなること、林のごとく、
   侵掠すること、火のごとく、
   動かざること、山のごとし

 読めばそのとおり分りますが、静と動・停止と進行が対になっています。
 林と山・風と火が静と動とを、各々現わしています。
 
 このことばは、ぼくにとって、とても思い入れのあることばです。
 去年の後半、弟の交通事故の処理に関わって、ほとんど仕事関係では動けない日が続きました。
 ちょっとそれで落ち込んだとき、友人がこのことばを引いて、励ましてくれました。

      今年いっぱい、林と山でいきましょう。
      火と風は来年おこせばよろしいでしょう。

 このことばに、ぼくはとても勇気づけられました。
 ひとつは、風林火山にこんな見方があるのか、というちょっとしたおどろき。
 もうひとつは、いくさや人生には、いくつもの波があって、動けないとき・動いても評価されないときがある、
そのときにはその状況をいったん受け入れて、動きを止めることも、選択肢のひとつなのだということ。
 動きを止めるといっても、やめてしまうのではありません。
 あくまで「火と風」と対になっていることに目を向けるべきだと思っています。
 
  休む・考えてみる・人の動きをながめてみる・自分に足りなかったものが何か考える・・・。

 「火と風」に対をなす「林と山」には、そういう含意もあるのではないでしょうか。

 そういえば、ドラッカーさんも、同じようなことを言っています。
 意思決定について、意思決定をしないということも、ひとつの意思決定だ、とか、
成果をあげられない・時代に合わなくなった部門の廃棄も、重要な選択肢のひとつだ、とか。

 高度成長だのバブルだのといった時代には、進め進め、兵隊進め!!の突貫攻撃でも成功できたかもしれないですが、あの時代にでも、無茶な投資に乗らず、健全に事業に取り組んだ企業が生き残っていたりします。

 ひとはひと、自分がここは静を守るべきだと思えば、ひとが何と言おうと静止する、ということもありなのだ、と「孫子」に教えられたのが、この「風林火山」なのでした。

2011年04月17日(日)更新

軍は高きを好みて、低きを悪み(にくみ)

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 おとつい、ぼくの師匠がこの2か月くらい取り組んできたメンタルヘルス・ゼミの第1回が始まりました。
 さる2月5日に大阪労働センターでのセミナーにシークレットゲストで講義頂いた某大手企業の産業医のかたが講師であり、主宰者になった(その名を冠した)ゼミです。
 (なお、2月5日のセミナーについては、このブログの第1回・第3回くらいでとりあげていますので、よければご覧ください)

 さすがにメンタルヘルスにはみなさん関心が高く、企業の労務部門でご苦労されている方・顧問先のの対策に苦慮されている社労士の方など、それぞれがそれぞれに悩みを持ち寄って、知恵を出し合い、講師の先生に知恵と経験からアドバイスを頂くというありがたいゼミです。
 が、企画が体育会系女子の師匠のこととて、少人数でのスパルタ教育を宣言し、宿題はあるわ、テストはあるわ、ぼくなどは行く前からプレッシャーを感じておりました。
いえいえ師匠、楽しみにしておりましたよ(苦笑)。

 さて、きょうはそんなこともあって、「孫子」のメンタルヘルス観(?)について書いておきたいと思います。
 (?)をつけたのは、ほかでもありません。
 「孫子」の生きた時代には、メンタルヘルスなんて、中国はもちろん西洋でもなかったからです(「西洋」「東洋」などという概念そのものがなかったはずですよね)。

 それでも、「孫子」は用兵の基本事項として、健康に配慮することの重要性を認識していたようです。

   「軍は高きを好みて、低きを悪(にく)み」 と書いております。

 この解説は、2種類あるようですね。
 ひとつは、攻撃にあたって上から下へ降りるほうが勢いがついて力が倍加する・だから高きを好むのだ、逆に低きは悪むのだというのと、
もうひとつは兵の健康面に考慮して、日当たりのいい・明るい場所に陣を張りなさいという考え方を言っているという本があります。
 「三国志」で有名な曹操さんなどは、前の考え方のようです。

 しかし、それでも、あとの考え方を否定することまではしないでしょう。
 たたかいに当って、実戦に臨む部隊の健康状態が悪いと、「必ずあやうし」は目に見えています。
 前回も書いたように、相手方とこちら側の双方の状況を冷静に分析して、状況に応じた最適解を見つけよという「孫子」です。
 自軍の弱みになる兵士の健康障害の可能性をそのままにしておくわけもありません。

 なにもこのことは、むかしむかしのお話ではありません。
 快適であかるい職場をつくることは、働くすべての人が快適に働く上に欠かせないことではあります。

 ドラッカーさんも、いってます。
 
   マネジメントの目的は、凡人に凡人の能力を超える働きをしてもらうことにあるのだ と。

 せっかくご縁があって入社した方々です。
 能力以上の働きをしてもらわないと、当のご本人も、会社も不幸です。少なくとももったいないとは思います。
 そのために事業主としては、客観的な快適さとともに、主観的・人間関係面の快適さを最低限、準備してあげることが必要です。

   高きを好み、低きを悪む・・・メンタルヘルスの精神があらわれたことばだと思います。

 
 注記
 冒頭では師匠の企画した少人数ゼミについてふれました。
 もし、メンタルヘルスに関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、師匠が)7月8日(金)に「メンタルヘルス対策最前線」と称するセミナーを企画しておりますので、ぜひお越しください。
 講師は亀田高志さん(医師)と北村庄吾さん(社労士)です。
 場所は大阪大学中之島センターです。
 お問い合わせは、lca@lcash.jp(LCA社会保険労務士事務所)まで。

 また 「月刊総務」 5月号 14ページ以下には、師匠が顔写真入りで紹介されております。
 どんな体育会系女子か、ではなかった、メンタルヘルスの現状がどんなものか、お知りになりたい方はどうぞご覧くださいませ。
 
 



2011年04月14日(木)更新

上善は水のごとし・・・

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 このあいだは「孫子」をとおして、「おのれを知る」ことについて考えたと書きました。

 「孫子」といえば、いくつかの思い入れがあることばがあります。
 そのうちのひとつに、 「兵の形は水に象る(かたどる)」 というのがあります。
 ぼくのなかでは、生き方の基本と言ってもよいくらいに大事です。
 
 むつかしいので、あまり表現としては美しくありません。
 でも、言っていることはとても大事だと思っています。
 
 「水」って、どんな性質を持つと思われますか??
 水は状況に応じて、氷にもなり、蒸発して空気にもなります。
 それだけではありません。
 状況に応じて、どんなに狭いところへでも流れていくし、決して高いところにいません。
 引力のせいでしょうか、かならず自分は低い位置へと流れていきます。
 染めれば、どんな色にも染まります。

 「孫子」はこの水の性質を、いくさの際の兵力展開とおなじだ、といっています。
 いくさは相手と自分の争いであって、自分の頭で思いえがいたとおりに展開するものではありません。
 そのときに、状況に応じて自分も展開できる上のような柔軟さこそが、たたかいにおいて必要だと言っています。


 しかし、この「孫子」の思想の根本には、「老子」の考え方が深くかかわっていると言われています。
 それが、  「上善は水のごとし」  という思想です。
 「孫子」では兵力展開という戦術レベルのおはなしとしてでてきますが、こちらでは考え方の基本として書かれています。

 なかみは上と同じことだと言ってよいと思います。
 解説を読んでも、上のことくらいしか書かれていません
  
 ただ、ぼくがおもうには、もっと応用が利くはずです。
 というか、「上善は水のごとし」の本当の意味はもう少し深いと思っています。

 水は状況に応じて確かに形を変え、自分を下においてへりくだっています。

 しかしまず、空気になり氷に形を変えても、水は決して消滅しません。滅びることはありません。
 状況に即応して生き続けます。
 つぎに、なによりも自分以外の者の生命を維持することに貢献しています。
このたびの震災で、人の生命維持にいかに水が大切か、思い知らされました。

 この2つの意味において、水は「上善」だと思っています。

 「孫子」にしても「老子」にしても、戦乱の続く中国社会で、大国にはさまれて存亡の危機にさらされた小国の生き延びる知恵をまとめたものだと言われています。
 そのいみで、おおきな企業のなかで、小規模企業が生き延びる・発展する知恵がいっぱいつまっています。
 ひとつは状況に応じて形を変えたとしても、決して滅ぶことなく・したたかに生きる。
 もうひとつは自社以外のお役に立つことが、そのための条件であり、存在意義でもある。

 「上善は水のごとし」・・・生き方の基本に触れることばだと思っています。
 
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