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2012年07月12日(木)更新

大津の事件で思い出しました。子どもに向き合う・守る教育・・・石川達三 「人間の壁」

 みなさま、こんにちは。
 お久しぶりでございます。
 熱血漢社労士 西村介延 です。

 きょうもまた雨。
 冗談ではない降水量になるそうで、九州ではたいへんなことになってるようですね。

 冗談ではない・たいへんなこと・・・といえば。
 大津では、ついに警察が捜索差押えをおこなったようですね。

 その事件の紹介で、けさ、みのもんた さん が、ちらっといってたのが、新田次郎さんの 「聖職の碑」。  
 映画にもなりましたし、教師がいのちをかけて子どもを守る姿は感動的なものでした。

 聖職・・・というと、即反発の声が上がりそうですが、そんなことはないですね。
 やはり、子どもを守る・子供を成長させる という 崇高な使命を持っている職業であることは、否定できないです。

 そうした聖職・・・などという大上段ではなく、日々の現場のなかで、子どものためにたたかった教師のはなし あります。
 「聖職の碑」 と聞いて、ああそういえば・・・と思い出した作品です。

 石川達三 「人間の壁」(新潮文庫 岩波現代文庫 上・中・下)

 
石川さんの作品では、金管日蝕のときに紹介した 「金環蝕」も有名ですが。
 この作品も、「金環蝕」 同様、実際の事件に取材した力作です。

 教育の中央統制を推し進めようとする政府と、それに反対して教師の教育の自由・現場の声を聴けという教師たちの対立・・・。

 覚えているのは、貧しくて学校にいけない児童たちの家庭をまわって、なんとか学校で勉強させようとする主人公の女教師の姿です。
 そういう現場の教師たちの努力を評価せず、むしろ押さえつけようとする学校や行政・・・。

 そこには、聖職だとかそうでないとかではなくて。
 純粋に子どもを守る・教育を受けさせてあげたい・・・という切実な教師たちの現場での苦闘だけが鮮明に描かれて、感動を誘います。

 もしかしたら、こうした教師たちの動きに反発する方も、いらっしゃるかもしれないですね。

 でも、大津の事件を見ていて思うのは・・・。
 いまの子供たちには、「人間の壁」や「聖職の碑」で描かれているような 必死に子どもを守る教師がいなくなった・・・という事実です。
 いなくなった・・・というのがいいすぎだとすれば、少数派になった、かな?

 報道では、アンケートで、いじめ を担任が見て見ぬふりをした とか うす笑いさえ浮かべてみていた・・・という回答さえあったといいますね。
 こうした印象は多分に主観的なものであって、本当にそうかはわからないです。

 しかしいえることは、生徒にとって教師はいざとなっても助けてくれない・・・そんな存在にしか映っていないということではないでしょうか?

 個人的な感想からいえば、本人がもっと闘い、初期の時点で反撃すべきだったとは思いますが。
 嫁などは、いじめられそうになったら、ほうきや木の枝をもって反撃し、反対にボコボコにしたそうですよ。
 ま、それも、だれかが後ろ盾になってくれる…安心感があったからかもしれないけど。

 教育は本来、権力から自由に行うべきで、教育委員会 も本来、政治や行政の圧力から自由な組織として生まれたものです。
 アメリカうまれの独立行政委員会のひとつです。
 本来、行政(国の権力作用のうち、司法と立法を除いたもの)は内閣が一手に握り、その指揮監督のもとに一体として動くというのが、行政の建前です(憲法65条)。
 自主性・中立性を確保して権力からの介入を防ぐ趣旨で、教育委員会などの独立行政委員会は憲法65条に反しないとされています。
 ちなみに憲法65条とは。
 「行政権は内閣に属する」 というシンプルな条文です。
 「行政権」とは?「属する」とは?が、ここでは解釈として、問題になるわけですね。

 だから、警察はもちろん、市長や文部科学省でさえ、憲法の解釈上、介入は許されないのが原則です。
 しかし、今回警察も市長も、文科省も、動き出しました。
 それほど、教育委員会の対応がひどかった。
 口を出さざるを得ない・動かざるを得ない・・・そんな状況にして、今後の介入に突破口を開いてしまった・・・。

 その意味でも、今回の事件は特筆に値するのかもしれないですね。 

 いま、段ボールいっぱいの教材と現場の研修ばっかで、余裕のない状況です。
 先ほども、八尾年金事務所で見かけました・・・と隣の部屋の事務員さんにいわれましたけど・・・。
 大手前や八尾でマシンの動かし方や添付書類について学んでます。
 終わったら終わったで、てんこ盛りのテキストとe-ラーニング・・・。
 ま、だれもが御指名ってわけでもなさそうなんで、ご縁なんでしょうか。 

 そんな状況ではありますが・・・。
 ニュースを見て、つらつらと考え、想いを寄せました。