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2011年04月18日(月)更新

風林火山

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 このところしばらく、「孫子」にこだわって書いていますが、もういっちょ、書かせてください。

 「風林火山」・・・ご存知ですね?
 武田信玄の旗印にもなったことばです。

   はやきこと、風のごとく
   静かなること、林のごとく、
   侵掠すること、火のごとく、
   動かざること、山のごとし

 読めばそのとおり分りますが、静と動・停止と進行が対になっています。
 林と山・風と火が静と動とを、各々現わしています。
 
 このことばは、ぼくにとって、とても思い入れのあることばです。
 去年の後半、弟の交通事故の処理に関わって、ほとんど仕事関係では動けない日が続きました。
 ちょっとそれで落ち込んだとき、友人がこのことばを引いて、励ましてくれました。

      今年いっぱい、林と山でいきましょう。
      火と風は来年おこせばよろしいでしょう。

 このことばに、ぼくはとても勇気づけられました。
 ひとつは、風林火山にこんな見方があるのか、というちょっとしたおどろき。
 もうひとつは、いくさや人生には、いくつもの波があって、動けないとき・動いても評価されないときがある、
そのときにはその状況をいったん受け入れて、動きを止めることも、選択肢のひとつなのだということ。
 動きを止めるといっても、やめてしまうのではありません。
 あくまで「火と風」と対になっていることに目を向けるべきだと思っています。
 
  休む・考えてみる・人の動きをながめてみる・自分に足りなかったものが何か考える・・・。

 「火と風」に対をなす「林と山」には、そういう含意もあるのではないでしょうか。

 そういえば、ドラッカーさんも、同じようなことを言っています。
 意思決定について、意思決定をしないということも、ひとつの意思決定だ、とか、
成果をあげられない・時代に合わなくなった部門の廃棄も、重要な選択肢のひとつだ、とか。

 高度成長だのバブルだのといった時代には、進め進め、兵隊進め!!の突貫攻撃でも成功できたかもしれないですが、あの時代にでも、無茶な投資に乗らず、健全に事業に取り組んだ企業が生き残っていたりします。

 ひとはひと、自分がここは静を守るべきだと思えば、ひとが何と言おうと静止する、ということもありなのだ、と「孫子」に教えられたのが、この「風林火山」なのでした。

2011年04月17日(日)更新

軍は高きを好みて、低きを悪み(にくみ)

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 おとつい、ぼくの師匠がこの2か月くらい取り組んできたメンタルヘルス・ゼミの第1回が始まりました。
 さる2月5日に大阪労働センターでのセミナーにシークレットゲストで講義頂いた某大手企業の産業医のかたが講師であり、主宰者になった(その名を冠した)ゼミです。
 (なお、2月5日のセミナーについては、このブログの第1回・第3回くらいでとりあげていますので、よければご覧ください)

 さすがにメンタルヘルスにはみなさん関心が高く、企業の労務部門でご苦労されている方・顧問先のの対策に苦慮されている社労士の方など、それぞれがそれぞれに悩みを持ち寄って、知恵を出し合い、講師の先生に知恵と経験からアドバイスを頂くというありがたいゼミです。
 が、企画が体育会系女子の師匠のこととて、少人数でのスパルタ教育を宣言し、宿題はあるわ、テストはあるわ、ぼくなどは行く前からプレッシャーを感じておりました。
いえいえ師匠、楽しみにしておりましたよ(苦笑)。

 さて、きょうはそんなこともあって、「孫子」のメンタルヘルス観(?)について書いておきたいと思います。
 (?)をつけたのは、ほかでもありません。
 「孫子」の生きた時代には、メンタルヘルスなんて、中国はもちろん西洋でもなかったからです(「西洋」「東洋」などという概念そのものがなかったはずですよね)。

 それでも、「孫子」は用兵の基本事項として、健康に配慮することの重要性を認識していたようです。

   「軍は高きを好みて、低きを悪(にく)み」 と書いております。

 この解説は、2種類あるようですね。
 ひとつは、攻撃にあたって上から下へ降りるほうが勢いがついて力が倍加する・だから高きを好むのだ、逆に低きは悪むのだというのと、
もうひとつは兵の健康面に考慮して、日当たりのいい・明るい場所に陣を張りなさいという考え方を言っているという本があります。
 「三国志」で有名な曹操さんなどは、前の考え方のようです。

 しかし、それでも、あとの考え方を否定することまではしないでしょう。
 たたかいに当って、実戦に臨む部隊の健康状態が悪いと、「必ずあやうし」は目に見えています。
 前回も書いたように、相手方とこちら側の双方の状況を冷静に分析して、状況に応じた最適解を見つけよという「孫子」です。
 自軍の弱みになる兵士の健康障害の可能性をそのままにしておくわけもありません。

 なにもこのことは、むかしむかしのお話ではありません。
 快適であかるい職場をつくることは、働くすべての人が快適に働く上に欠かせないことではあります。

 ドラッカーさんも、いってます。
 
   マネジメントの目的は、凡人に凡人の能力を超える働きをしてもらうことにあるのだ と。

 せっかくご縁があって入社した方々です。
 能力以上の働きをしてもらわないと、当のご本人も、会社も不幸です。少なくとももったいないとは思います。
 そのために事業主としては、客観的な快適さとともに、主観的・人間関係面の快適さを最低限、準備してあげることが必要です。

   高きを好み、低きを悪む・・・メンタルヘルスの精神があらわれたことばだと思います。

 
 注記
 冒頭では師匠の企画した少人数ゼミについてふれました。
 もし、メンタルヘルスに関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、師匠が)7月8日(金)に「メンタルヘルス対策最前線」と称するセミナーを企画しておりますので、ぜひお越しください。
 講師は亀田高志さん(医師)と北村庄吾さん(社労士)です。
 場所は大阪大学中之島センターです。
 お問い合わせは、lca@lcash.jp(LCA社会保険労務士事務所)まで。

 また 「月刊総務」 5月号 14ページ以下には、師匠が顔写真入りで紹介されております。
 どんな体育会系女子か、ではなかった、メンタルヘルスの現状がどんなものか、お知りになりたい方はどうぞご覧くださいませ。
 
 



2011年04月14日(木)更新

上善は水のごとし・・・

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 このあいだは「孫子」をとおして、「おのれを知る」ことについて考えたと書きました。

 「孫子」といえば、いくつかの思い入れがあることばがあります。
 そのうちのひとつに、 「兵の形は水に象る(かたどる)」 というのがあります。
 ぼくのなかでは、生き方の基本と言ってもよいくらいに大事です。
 
 むつかしいので、あまり表現としては美しくありません。
 でも、言っていることはとても大事だと思っています。
 
 「水」って、どんな性質を持つと思われますか??
 水は状況に応じて、氷にもなり、蒸発して空気にもなります。
 それだけではありません。
 状況に応じて、どんなに狭いところへでも流れていくし、決して高いところにいません。
 引力のせいでしょうか、かならず自分は低い位置へと流れていきます。
 染めれば、どんな色にも染まります。

 「孫子」はこの水の性質を、いくさの際の兵力展開とおなじだ、といっています。
 いくさは相手と自分の争いであって、自分の頭で思いえがいたとおりに展開するものではありません。
 そのときに、状況に応じて自分も展開できる上のような柔軟さこそが、たたかいにおいて必要だと言っています。


 しかし、この「孫子」の思想の根本には、「老子」の考え方が深くかかわっていると言われています。
 それが、  「上善は水のごとし」  という思想です。
 「孫子」では兵力展開という戦術レベルのおはなしとしてでてきますが、こちらでは考え方の基本として書かれています。

 なかみは上と同じことだと言ってよいと思います。
 解説を読んでも、上のことくらいしか書かれていません
  
 ただ、ぼくがおもうには、もっと応用が利くはずです。
 というか、「上善は水のごとし」の本当の意味はもう少し深いと思っています。

 水は状況に応じて確かに形を変え、自分を下においてへりくだっています。

 しかしまず、空気になり氷に形を変えても、水は決して消滅しません。滅びることはありません。
 状況に即応して生き続けます。
 つぎに、なによりも自分以外の者の生命を維持することに貢献しています。
このたびの震災で、人の生命維持にいかに水が大切か、思い知らされました。

 この2つの意味において、水は「上善」だと思っています。

 「孫子」にしても「老子」にしても、戦乱の続く中国社会で、大国にはさまれて存亡の危機にさらされた小国の生き延びる知恵をまとめたものだと言われています。
 そのいみで、おおきな企業のなかで、小規模企業が生き延びる・発展する知恵がいっぱいつまっています。
 ひとつは状況に応じて形を変えたとしても、決して滅ぶことなく・したたかに生きる。
 もうひとつは自社以外のお役に立つことが、そのための条件であり、存在意義でもある。

 「上善は水のごとし」・・・生き方の基本に触れることばだと思っています。
 

2011年04月12日(火)更新

彼を知らず、おのれを知れば・・・。

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 前回、「おのれを知る」と書きました。
 「おのれを知る」といえば、「孫子」の次のことばが有名ですね。

   彼を知りおのれを知れば、百戦してあやうからず

 ご存知の方も多いでしょうが、これは3つのことばからなっていて、あとに2つ続きます。
    
   彼を知らずおのれを知れば、一勝一負す

   彼を知らずおのれを知らざれば、戦うごとに必ずあやうし

 ぼくがけっこう気に入っているのは、  彼を知らずおのれを知れば、一勝一負す  ということばです。
すなわち、彼、つまり相手のことは知らなくても、おのれ、つまり自分のことをよく分ってさえいれば、負けてばかりはしない・2回に一回くらいは勝てるのよ、ということばです。
 まあ、半分負けるんじゃあねえ・・・、という声もありそうですが、ここはやはりおのれ、つまり自分の 強みと弱みを知れ!ということがポイントだと思っています。そうすれば、すくなくとも連敗すること(「必ずあやうし」)だけはないのよ・・・と。

 自分でなにか事業をする・・・ということは、これがやりたい!!これをやるために!!というつよい思いがあったからだと思います。
そんなおもいがあれば、自然に自分の思考・目・耳がその方向へ向いていくものだというのが、ぼくの実感です。
また、周囲にも、よく似た分野に関心を持つ人が集まっても来ます。
当然、知識も情報も増えて、それが強みになってくる・・・というのも、実感です。 

 また、自分がしたいもの・これをもってなら世の中に貢献できるというもの・・・事業を始めるとき・行き詰ったとき・判断に迷ったときに、そのことが判断の基準になるように思います。

 そのことをつきつめるのが、「おのれを知る」ということなのでしょう、きっと。
 
 彼、つまり相手は仕事に応じ・毎日変わるかもしれないです。
 だからかれ・相手のことは、必ずしも十分には情報が得られず、「知らず」ということはありえます。

 しかし、おのれ・自分のことは、ほかでもない自分・寝ても起きても・飯食ってるときも風呂に入っても、休みなくおつきあいしないと仕方ないので、自分のことは自分が一番よくわかるはずだし、わかっているべきだ・・・。
 自分の強みと弱みがよくわかってさえいれば、多少相手のことがよくわかっていなくても、自分の価値基準からして、いけそう・あぶなそう・楽しそう・つきあえそう・・・なんていう判断はできていけそうじゃありません??

 そう考えると、自分のことが分っていさえすれば、相手について情報が充分でなくても、少なくとも負け続け(「必ずあやうし」)はない・・・、というのも、合点がいきそうですよね。
 
 もっとも、3つでひとつの成句ですから、ここだけですべてを結論づけられはしませんが・・・。

 あと、この成句で「あやうし」「あやうからず」とあって、かならず勝つとか、かならず負けるといわないのは、勝負には「時の運」がからむので、負けそうでも幸運で勝つとか、その反対もあるからだ・・・と、ものの本には書いてありました(なるほど・・・)。


 おのれを知るとはそういうことなのだと、きのう一日、仕事をしながら考えておりました。

  そして、事務所の経営理念も、ブログ冒頭に掲載させて頂きました。

2011年04月10日(日)更新

知己(おのれを知る)・・・同友会・経営指針セミナーに参加して・・・

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 この土日、泊まり込みで同友会の経営指針セミナーに(経営理念コース)参加して来ました。
 同友会に入りたてで、行っても大丈夫かいな??という疑問がありながらも、諸先輩のすすめもあって、参加させて頂きました。

 自分が何のために、社労士になったのか、何をしたくてなったのか、あらためて考える機会になりました。
 おのれ自身を知れ、おのれを知ることで、ひとを知り、世界も知ることができる・・・とは、よくいわれることではあります。
 ありますが、なかなか自分自身を振り返って、おのれを知る機会はありません。
 今回の指針セミナーはそのいい機会だったと思います。
 受講生3人に、指導者(リーダーとサブリーダー)が3人という少人数だったこともあり、懇切丁寧に指導して下さり、開業当初の自分が求めていたものを、自分の経営理念として振り返ることができました。

 なかなかできなくてなきそうになっていました。
 そんなとき、西村さんの中の熱い思いは、他の参加者とはまた違うものがあると思う、重油か原子炉でも燃えているように思える、
それをそのままだだせばいいのだ、とアドバイスをして頂きました。
 そのおかげで、未完成ながら事務所の理念らしきものが出来上がりました。
 まだまだ完成途上で、7月の次のステップまでに、もう少し理念らしくしないといけないと言われはしましたが・・・。

     メンタルヘルス対策を行い、働きやすい職場環境をつくりあげることが、私たちのよろこびです。

 どうです?師匠。
 
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