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2011年11月03日(木)更新

福岡の飲酒運転死亡事故の判決が確定しましたね。遺族の気持ちは・・・。

 みなさま、こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 あさ新聞を見ましたら、福岡で幼い兄弟が飲酒運転車両に轢かれて死亡した事件の上告審判決が確定した・・・と出ていました。
 一審判決の自動車運転過失致死罪を覆した高裁判決を支持して、被告人の上告を棄却したというものです。

 冷静に見れば一審の裁判官は偉いと思います。
 いかに凶悪事件とはいえ、被告人側の主張にも冷静に耳を傾けました。
 また新設されたばかりで裁判例も少なく、立証の困難な危険運転罪を避けた判断は適正だったと思います。
 不服があれば上告してくれればいいという判断もあったのかもしれないですが・・・。

 しかし、やはり危険運転罪を認めてほしい・こんな悪質な事例でこの条文を適用できないのであれば、いったいどんな状況でこの条文を適用するというのか・・・。
 そんな遺族の気持ちもわかります。

 ぼくも一年前、嫁の弟がいねむりの大学生に追突されて死亡したとき、危険運転罪の適用を求めました。
 制御困難な高速度運転によるもの・または未熟運転によるもの(刑法208条の2 1項後段)です。
 今回の福岡の事件ではアルコールの影響による正常運転困難(同 前段)で起訴され、最高裁が支持した高裁判決もこれを認めました。

 しかし遺族の気持ちはいかばかりでしょうか?
 たとえ20年の懲役という危険運転罪の最高刑が確定しても、死んだ子は帰って来ません。
二度とふたたび、ご両親に向かって笑いかけることも、甘えることもないのです・・・。
 こいつが酒を飲んで車に乗ることさえなかったら!!

 ぼくがそうでした。
 3月に被告人に判決が言い渡されたとき、執行猶予がついたことがよほどうれしかったのか、安心したのか・・・。
 被告人の父親は被害者の姉に 「ども~。すみませんでした~~」 と、たとえていえば混雑した電車の中で人の足を踏んでももうちょっとましな挨拶ができるというようなことをいって、帰っていきました。
 控訴できないとはわかっていたし、する気もなかったですが。
 このときばかりは さすがにあったまにきて、担当検察官に、「 も~~、にゃにがにゃんでも控訴!控訴!」 と無理を言った覚えがあります。
 「月夜の晩ばっかりやと思うなよ!!」というすてぜりふをはいて、その場は収めましたが・・。

 そして、最終目標である所属大学の処分が出た・・・と学部の事務長から連絡を頂いたとき。
 停学3か月、前期の単位登録はできない、裁判で 「ボランティア!ボランティア!」とほざいてたので、停学中きちんとボランティアをしてレポートを出す という処分でした。
 以後が大学としても、交通安全講習を毎年行い、学生手帳にも運転の心得のようなものを掲載しますと約束してくれました。
 満額回答です。

 一応、ぼくたちの望んだ処分ではありました。
 しかしそのときの空しさ!!

 福岡の事件とおなじく、加害者に行かに厳しい処分が出たところで、被害者はもう帰りません。
 加害者は大学生で両親がかばってくれて、パパが一生懸命矢面に立ってくれ、おかげで自分は遺族の前に出なくて済んだ。
 でも、被害者にも同じ大学生の子がいますが、その子はもう2度とお父さんに会うことができません。

 またぼくとしては、もうこれ以上、加害者を追い詰めることができないことのくやしさがありました。
 へらへら笑って、「ども~~、すみませんでした~~」 と遺族に言った父親。
 裁判官には頭を下げたが遺族には一回も謝らなった加害者!!

 そのことを評して、師匠でもあり、大親友でもある 森本貴代さんは、「事務所案内」で、「つよさ」だといってくれました。
 「つよさ」かどうかはさておき、遺族としてはもう手の打ちようがないむなしさを覚えます。

 しかし反面、加害者側は、裁判には引きずり出されるわ・大学からきつい処分を受けるわで、自分こそ被害者だと思っているふしがあります。

 みなさま、加害者になっても被害者になっても、交通事故はむなしいです。
  


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