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2011年04月14日(木)更新

上善は水のごとし・・・

 こんにちは。
 社労士の 西村介延 です。

 このあいだは「孫子」をとおして、「おのれを知る」ことについて考えたと書きました。

 「孫子」といえば、いくつかの思い入れがあることばがあります。
 そのうちのひとつに、 「兵の形は水に象る(かたどる)」 というのがあります。
 ぼくのなかでは、生き方の基本と言ってもよいくらいに大事です。
 
 むつかしいので、あまり表現としては美しくありません。
 でも、言っていることはとても大事だと思っています。
 
 「水」って、どんな性質を持つと思われますか??
 水は状況に応じて、氷にもなり、蒸発して空気にもなります。
 それだけではありません。
 状況に応じて、どんなに狭いところへでも流れていくし、決して高いところにいません。
 引力のせいでしょうか、かならず自分は低い位置へと流れていきます。
 染めれば、どんな色にも染まります。

 「孫子」はこの水の性質を、いくさの際の兵力展開とおなじだ、といっています。
 いくさは相手と自分の争いであって、自分の頭で思いえがいたとおりに展開するものではありません。
 そのときに、状況に応じて自分も展開できる上のような柔軟さこそが、たたかいにおいて必要だと言っています。


 しかし、この「孫子」の思想の根本には、「老子」の考え方が深くかかわっていると言われています。
 それが、  「上善は水のごとし」  という思想です。
 「孫子」では兵力展開という戦術レベルのおはなしとしてでてきますが、こちらでは考え方の基本として書かれています。

 なかみは上と同じことだと言ってよいと思います。
 解説を読んでも、上のことくらいしか書かれていません
  
 ただ、ぼくがおもうには、もっと応用が利くはずです。
 というか、「上善は水のごとし」の本当の意味はもう少し深いと思っています。

 水は状況に応じて確かに形を変え、自分を下においてへりくだっています。

 しかしまず、空気になり氷に形を変えても、水は決して消滅しません。滅びることはありません。
 状況に即応して生き続けます。
 つぎに、なによりも自分以外の者の生命を維持することに貢献しています。
このたびの震災で、人の生命維持にいかに水が大切か、思い知らされました。

 この2つの意味において、水は「上善」だと思っています。

 「孫子」にしても「老子」にしても、戦乱の続く中国社会で、大国にはさまれて存亡の危機にさらされた小国の生き延びる知恵をまとめたものだと言われています。
 そのいみで、おおきな企業のなかで、小規模企業が生き延びる・発展する知恵がいっぱいつまっています。
 ひとつは状況に応じて形を変えたとしても、決して滅ぶことなく・したたかに生きる。
 もうひとつは自社以外のお役に立つことが、そのための条件であり、存在意義でもある。

 「上善は水のごとし」・・・生き方の基本に触れることばだと思っています。
 
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